「情報収集=Google検索」という行動は変わりつつあります。総務省が公表した2026年の情報通信白書によると、生成AI(人工知能)を使ったことのある個人は25年度時点で58.8%と、特に仕事や調べものでの利用が多いとの結果が発表されました。
私どもで運営しているサイトにおいても2026年1月~6月にかけてChatGPT経由等生成AI経由の流入が前年比約2.5倍に増加しています。ユーザーが「検索する」だけでなく、「AIに相談して商品やサービスを探す」という行動が広がりつつあります。
学校広報においてもAIを意識した情報発信はこれからますます重要になってくると予想されます。AIに学校名が引用されるような情報発信が重要で、AIを通じて受験生や保護者に学校を紹介してもらうような施策が必要になってきます。もはやAIが学校のブランドを評価するといっても過言ではない時代になってきています。
具体的にどのような情報発信を行っていくかですが、AIだからといって気負いすることなく、従来のSEO対策をベースとした施策が前提になってきます。
AI対策の基本はSEO対策
受験生や保護者が検索する内容の回答となるような情報を学校サイトに掲載することで検索した人に記事を見つけてもらうことができます。
例えば、大阪で中学受験を検討する際に、受験生や保護者は「大阪 私立中学」と検索することがあるかと思います。すると下記のように入力語句の下に候補ワードが表示されます。

このワードをサジェストワードと言います。サジェストワードは、世の中の受験生や保護者が特に関心の高いキーワードですので、学校ブログやSNSでの情報発信は特に注力してください。
このようなサジェストワードは、ラッコキーワード(https://rakkokeyword.com/)というツールで調べることができます。ラッコキーワード「大阪 私立中学」と検索すると下記のような画面になりました。

どのご家庭でも難関校を目指しているわけではありません。下記のような検索をする人もいます。
「大阪 私立中学 偏差値」
「大阪 私立中学 中堅校」
「大阪 私立中学 のびのび」
検索意図を推測すると、子どもの学力にあった自由な校風の中で、学力だけでない得意分野を見つけ、成長していってほしいと願う親御様の気持ちが想像できます。校風は、特にしっかりとサイトに記載しておく必要があります。
同様にクラブ活動を頑張りたいという人は、「大阪 私立中学 (クラブ名)」で検索しています。実際、ラッコキーワードで調査してみると下記のようなサジェストワードが表示されました。
「大阪 私立中学 サッカー 強い」
「大阪 私立中学 体操部」
「大阪 私立中学 野球部」
「大阪 私立中学 ラグビー」
「大阪 私立中学 陸上」
「大阪 私立中学 バスケ」
「大阪 私立中学 美術」
「大阪 私立中学 プール」
「大阪 私立中学 プログラミング」
クラブに力を入れている学校では、特にしっかりと情報発信を行う必要があります。SEO対策の具体的なやり方については、紙面の関係上省略しますが、考え方は上述の通りになります。
AI独自の対策とは
では、AIで調べ物をする人に学校を知ってもらうためにはどうしたら良いでしょうか?
AI時代は、検索キーワードだけでなく、どのようなプロンプトが打たれるかも想定しながら情報発信を行う必要があります。
調査方法については、サジェストツールを使ってどんなキーワードが検索されているか調査してみるのも一つの方法です。先ほどのサジェストツールの結果を参考にすると、
・のびのびした校風の私立中学を教えて。
・特待生制度がある大阪の私立中学を教えて。
・医学部進学に強い大阪の私立中学を教えて。
といったプロンプトが打たれることが想像されます。
あと、毎年学校説明会を開催されているかと思いますが、その際に保護者から質問が出てくるかと思います。保護者からの質問は、学校広報において貴重な財産です。そこで出た質問は、他の人も疑問に感じているケースが多いので、学校サイトに必ず掲載しましょう。
FAQのような一問一答形式で、掲載しておくのも良いです。
Q.○○中学高等学校は、どのような校風ですか?
A. 生徒の自主性を尊重した、自由でのびのびとした校風です。学習だけでなく、部活動や学校行事にも力を入れています。
Q.○○中学高等学校は、特待生制度がありますか?
A. はい。入学試験の成績上位5名を対象とした特待生制度があり、授業料の全額または一部が免除されます。
Q.○○中学高等学校の医学部進学コースについて教えてください。
A. 2026年度は、国公立大学医学部医学科に5名、私立大学医学部医学科に12名が合格しています。医学部を目指す生徒向けの2年次から医学部進学コースを設置しています。
具体的な調査結果やエビデンスなどは、WEBサイトの信頼性を高めますので、大学合格実績の数値、クラブ活動での実績や生徒のコンテスト・コンクール受賞歴などはしっかりと掲載しましょう。画像で載せているサイトも見かけますが、テキストで掲載した方が、SEO対策やAI対策に効果的です。
ウェブサイトだけを直せば良いわけではない
ウェブサイトだけ情報発信すればいいだけでなく、他にも、SNSやショート動画の投稿、新聞メディア等への広報活動、オフラインでの講演活動などもAI対策には重要になってきます。
昨今の世の中では、Googleで検索、AIに相談、SNSの口コミをチェックなど人々は様々なプラットフォームで情報を得ています。
できるだけあらゆるプラットフォームでの情報発信が必要です。と言っても広報に充てられるリソースに限りがある中で、すべてに取り組むことができない場合もあるかもしれません。
広報活動は学校の生命線とも言えます。専門の外部業者への委託なども検討して広報活動することが望ましいです。
まとめ
生成AIの普及によって、学校を探す方法は少しずつ変化しています。Googleなどの検索エンジンだけでなく、ChatGPTをはじめとした生成AIに学校選びを相談する人が増えれば、学校広報においてもAIを意識した情報発信が重要になっていくでしょう。
特別なAI対策が必要というわけではありません。学校の特色や教育方針、進学実績、学校生活など、受験生や保護者が知りたい情報を分かりやすく整理し、Webサイトなどで継続的に発信していくことが基本となります。
本稿が、皆さんの学校広報を見直すきっかけとなり、より良い学校運営につながれば幸いです。
SEO(Search Engine Optimization)…検索結果に記事ページを表示させ、検索順位の向上、及びクリック流入増加を目指す施策。
AIO(AI Optimization)…GoogleのAIによる回答などで、自サイトが取り上げられやすくするための施策。
LLMO(Large Language Model Optimization)…ChatGPT・Gemini等の生成AIに企業・商品・ブランドを言及・引用されやすくするための施策。
GEO(Generative Engine Optimization)…生成AIの回答で引用・参照されやすくするための施策。
これらの用語には明確に統一された定義がなく、専門家によって使い方や捉え方が異なります。本稿では、GEOをAIOやLLMOを含む広い概念として扱います。
言葉の違いだけで、具体的な施策はこれまで同様SEO施策がベースとなっています。大切なのは、受験生や保護者がどのような疑問や悩みを持ち、どのような情報を必要としているのかを把握し、それに答えるような情報発信を継続することです。

