学校には、写真に残したい瞬間がたくさんあります。授業に集中する生徒の表情、先生と生徒が話している様子、部活動で仲間と声を掛け合う姿、行事で生まれる笑顔。学校広報では、こうした日常の一場面をホームページやSNS、学校案内などで発信する機会も多いのではないでしょうか。
ところが、実際にスマートフォンを構えてみると、「何を撮ればいいのかわからない」「いつも似たような写真になる」「記録写真のようになってしまう」ということも少なくありません。そこで今回は、撮影技術の前に、私が写真を撮るときに大切にしている考え方をご紹介します。
株式会社KP Life 蔵屋 憲治
まず「何を伝えたい写真なのか」を決める
写真を撮るとき、最初に考えてほしいのが「この一枚で何を伝えたいのか」です。例えば授業風景を撮影するとしても、「授業をしていることを伝えたい」のか、「生徒が主体的に学んでいる姿を伝えたい」のか、「先生と生徒の距離の近さを伝えたい」のか。目的によって、撮る位置も構図も変わってきます。
写真の中には「主役」と「脇役」があります。生徒の表情が主役なら、教室や黒板は学校らしさを伝える脇役になります。スマートフォンのグリッド機能を使い、主役を画面の3分の1付近に配置するだけでも、写真には安定感が生まれます。私がスマホ写真撮影講習でもお伝えしている「1/3の法則」と「主役と脇役を明確にする」という考え方です。

撮る人自身が、被写体に感動する
もう一つ、私がとても大切にしていることがあります。それは、撮影する自分自身が、目の前の被写体に感動することです。
「この生徒の表情、いいな」「先生と生徒のこのやり取り、素敵だな」「今の瞬間、この学校らしいな」。そんなふうに感じた瞬間に、私はシャッターを切ります。
写真は単なる記録ではありません。撮る人がどこに魅力を感じたのか、その視点も写真には表れます。逆に、何となくカメラを向けて、何となくシャッターを押しているだけでは、見る人の心を動かす一枚にはなかなかなりません。上手に撮ろうとする前に、まず目の前の人や出来事をよく見る。そして、魅力を見つける。学校広報の写真では、この姿勢がとても大切だと考えています。

被写体との「距離」を変えてみる
写真がいつも同じように見える場合は、被写体との距離を変えてみてください。少し離れて撮れば、教室全体や授業の雰囲気が伝わります。一歩近づけば、生徒が何をしているのかが見えてきます。さらに近づけば、表情や感情が伝わります。つまり、距離が変わると、写真から伝わる情報も変わるのです。
スマートフォンのズームだけに頼るのではなく、自分自身が一歩前へ出たり、少し後ろへ下がったりしてみてください。背景を見せたいのか、人物の表情を見せたいのか。「何を伝えたいか」を考えることで、自然と撮影する距離も決まってきます。

いい写真を撮ろうとする前に、目の前の被写体をよく見る。感動する。そして、「この魅力を伝えたい」と思える距離まで近づく。そこから写真は始まります。学校の日常には、まだたくさんの「伝えたくなる瞬間」があります。ぜひ、そんな瞬間を見つけてみてください。

