未来のグラレコ代表 はせぽん 氏/VISION&ビジネスの視覚屋
学校説明会の現場では、広報担当の先生を中心に、各担当の先生方が順に説明していく姿をよく目にします。誠実に伝えようとする姿勢は素晴らしいのですが、多くの情報が並ぶうちに、本来響かせたいポイントが霞んでしまい、受験生や保護者に強く残らないことがあります。
だからこそ、学校の魅力を印象的に届けるには、要点を整理し、ポイントを絞ることが大切です。そのポイントを直感的に伝わる絵にしてくれるのが、VISION&ビジネスの視覚屋のはせぽん氏です。
視覚化で価値を伝える
私は『VISION&ビジネスの視覚屋』として、ビジネスや人の強みを視覚化するクリエイティブワークを展開しています。言葉では伝わりにくいことをイラストや図解、キャッチコピーで整理し、なぜ価値があるかを7秒で伝わる絵にすることを強みにしています。
以前は大学で広報を担当し、オープンキャンパスや大学案内の制作を通して、学校の魅力をどう表現すれば伝わるかを追求してきました。具体的な数値目標の達成に向けて職員全員で戦略的に取り組み、受験者数を伸ばしてきた経験は、私のキャリアの中で積み重ねてきた実践のひとつです。その後、システムエンジニアを経て、現在は専門学校で学生へのITリテラシー指導にも携わっています。教育と広報の両方を土台に培った経験が、今の活動にもつながっています。

本音を引き出し、嬉しい未来を描く
私が大切にしているのは、ビジネスや学校の強みを丁寧な言葉として浮かび上がらせることです。表面的な答えや形式的な言葉ではなく、現場を知る広報担当の先生の本音と実感のこもったエピソードを丁寧に引き出し、カタチにしていきます。複雑なサービスや取り組みも、言葉と絵に変換すれば直感的に理解できます。そこにキャッチコピーを添えれば、何をしているか、なぜ価値があるかを7秒で印象づけることができるのです。
学校広報に携わった中で実感しているのは、受験生や保護者に響くのは、嬉しい未来が語られているかどうかです。たとえば歴史や最新の施設よりも、在校生の雰囲気や先生の人柄、学校全体の空気感といった、どんな環境に未来の自分がいるのかという要素が、選択の決め手になることが多いのです。だからこそ、まず誰に伝えるのかを明確にし、どんな情報を知りたいかを考えることを重視しています。ゴールは受験生の中に未来への期待感を芽生えさせることです。
ターゲットを描き、生徒の声を資源に
広報を考えるとき、まず意識してほしいのは、ターゲットを具体的に思い描くことです。一人の生徒を頭に描き、その生徒が何を見て、何を感じ、どんな言葉を発しているのかを想像してみてください。それらをイメージできるなら、相手を理解している証拠です。もし描けないのなら、それは相手を知らないまま発信しようとしているサインかもしれません。
その理解を深めるためには、日常から生徒の声を資源として集めておくことをお勧めします。授業やクラブ活動で出た一言や、印象的な瞬間をメモするだけでも十分です。「この学校の好きなところは?」「一番の思い出は?」「入学前と今で何が変わった?」といった問いかけを重ねれば、言葉は自然と蓄積されます。そうして集まった声は、後にコンセプトづくりや発信の軸を考えるときの貴重な材料になります。
かつて関わっていた大学でも、広報に学生を積極的に巻き込み、学生自身を前面に押し出す姿勢を大切にしていました。受験生が本当に知りたいのは生の声です。こうした姿勢を持ち続ける学校は、昔も今も強い発信力を持っています。

多様化する発信チャネルと設計図の重要性
今はSNSをはじめ発信チャネルが多様化し、より工夫された魅せ方が求められる時代になりました。その分、広報担当の先生の負担も増え、以前より複雑で高度な判断が必要になっていると感じます。だからといって丸投げするのではなく、誰に向けて何を発信するのかを整理した設計図をつくることが大切です。その上でプロの力を借りれば、内容が薄くならず、しっかりと響く発信にできます。
迷ったときには、まずSNSを観察したり、生徒の視点を借りてみてください。彼らは、同世代の受験生が何に心を動かされるかを知っています。先生方だけで完結させようとせず、チームとして一緒に考えることで、よりリアルで強いメッセージが生まれます。
不安や迷いこそ、広報の出発点
日々広報活動をしていると、ついWebサイトの更新やSNSの活用といったことを考えてしまいがちです。だけど、本当に大切なのは、誰に何を伝えるのかという軸を、まず明確にすることです。授業や部活の合間に書き留めた小さなエピソードであっても、学校の強みをカタチづくる大切な材料になります。 たとえ今すぐ言葉にならなくても、現場を知る広報担当の先生の中には、こうしたいという芽がきっとあります。うまく言葉にできない、何から手をつければ良いかわからない、チームとして動けるか不安、そんな感情こそ出発点にはピッタリです。私の役割は、それらを引き出し明確に見える化することです。

